やぎりん日記

やぎりん!こと、作曲家の八木澤教司の日記です! 日々の体験や感じたことを書いていきます!
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☆ 母なる北方の大地

2月 23, 2010 By: S.Yagisawa Category: 日記

朝4時に起きて出発の準備。なんとか熱は下がりました。喉がまだ痛く完治ではないものの今日はなんとかなりそうです。本日は数日前に完成したばかりの陸上自衛隊北部方面音楽隊(札幌)創隊50周年記念委嘱作品【交響詩「母なる北方の大地 — すべての生命を讃えて」】の立ち会い練習のため札幌へ。世界初演は3月6日(土)札幌コンサートホールkitaraにて行われます。 福岡で隊長である澤野展之さんとお会いした時に初合奏の感想を伺うと“まだ全体像が見えない状態、とても解釈が難しい”とのことでした。少なくとも良い曲なのか、そうでないのかもまだ判断できないという感じの印象に聞こえるニュアンスでおっしゃっていたので私は少々不安を抱えながらの出発しました。

札幌の駐屯地に到着し澤野さん、そして今回の委嘱を頂くきっかけとなった音楽班長の山下顕さんと再会。山下さんは以前隊員として旭川を拠点として活動する陸上自衛隊第2音楽隊の委嘱作品【コロポックルの棲む渓谷「神居古潭」】の初演をして頂いたことがきっかけで出会いました。当曲にとても想い入れがあったことから今回の委嘱作品のお話をくださったようです。山下さんの今回の意気込みは電話などでの打合せからも判り、絶対に山下さんを裏切れない!という気持ちもあって全力で制作に打込んでいました。結果として少々の納期が遅れてしまいましたが、今日、山下さんと直接お会いして、その笑顔から少し救われたような気がしました。

澤野さんは“あれから何回か練習してちょうど面白くなってきたところ、でもまだ解釈で判らない、解決できなくて悩んでいることがたくさんあります”とのこと。明らかに福岡でお会いした時とは様子が違い今日の練習が面白くなるのではないかと私も楽しみになってきました。そして澤野さんは“大学の先輩であること、隊長であることを気にしないで、八木澤さんの意図ははっきり伝えてください、解釈が違えばハッキリ隊員の前でも言ってください”とまでおっしゃてくれました。ただ私は同時に澤野さんは、かなり楽譜を読込んでくださり様々な解釈を想定していらっしゃる意気込みにも感じられ、さすがだと改めて想う瞬間となりました。実は今回の委嘱作品を私が書くと決まった時は澤野さんはまだ東京にいて隊長に就任されていませんでした。ですが偶然にも良いタイミングで澤野さんが隊長に就任した初めての定期演奏会において今回の作品が世界初演となるのです。私は以前、澤野さんが指揮する陸上自衛隊中央音楽隊の演奏する【マチュピチュ】を生で聴いて熱くエネルギッシュな音楽創りに心より感動しました。そんな想いがあっただけに今回の作品は近年の作風をあえて使用せず、音楽創りのアプローチが多様で解釈の難しい【輝きの海へ】はてしなき大空への讃歌】【稜線の風】といった初期の作風を基に制作しました。そう、単に音を並べるだけでは全く音楽にならない、指揮者の“こうしたい”という意志がダイレクトに出る初期の八木澤コラールなのです。隊長とお弁当を食べながら打合せ。

練習は約4時間行いましたが時間を忘れるほど面白いものとなりました。澤野さんも山下さんも休憩の度に“面白くなってきた!”と連呼。想った通り澤野さんはあらゆる解釈を想定して研究されていて、私がちょっとイメージを伝えるだけで隊員へ的確な指示を。そして一瞬でアプローチの違った演奏を実演できるバンドの高いクォリティ。音楽が次第に生きて行く、みるみる変化してより立体的な演奏になっていくことを練習会場にいた誰もが感じるものとなりました。15分もの大作で北海道の四季がドラマチックに描かれていく。最後の確認を兼ねた通しの演奏で山下さんは“本当に泣きそうになりました、今回は音楽班長という立場で演奏に参加できないのが悔しいほど感動です”とおっしゃってくださり、私も何日も徹夜し苦労して生み出した抑圧された気持ちが解放されたような瞬間でした。本番が本当に楽しみでなりません!

夜は澤野さんも山下さんを中心としたメンバーで懇親会。美味しい鍋を食べながら楽しい時間を過ごさせて頂きました。そして本番を終えた大学の同期である本間将大くん(陸上自衛隊第2音楽隊)も駆けつけてくれて更に盛り上がる時間となりました。明日は東京に戻り、再び作曲に集中しなくてはなりません!

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